医療過誤事件

 
医療過誤事件のイメージ 当事務所では,医療事故の被害を受けた患者及びその家族遺族の皆さんから依頼を受けて,当該医療機関における医療事故の調査や,これを踏まえての賠償謝罪交渉及び訴訟提起等の事件を受任して対応しております。
 
 医療過誤事件は,病院という密室の中で,専門的な医療行為の中で発生し,関係者の協力を得にくいという特徴があるため,医療被害の実態を把握し,その行為中に過失があったのかは判断することや,これを訴訟手続の中で立証していくことが極めて困難な事件のひとつです。
 
 当事務所では,一貫して患者やその家族の立場にたち,医療過誤被害の救済のために相談にのり,事件解決のため努力をしております。そのため専門的な文献や知識を習得し,全国の医療過誤事件に取り組む弁護団と連携し情報交換をしながら事件解決に邁進しております。

 医療過誤事件は,上記の密室性,専門性,封建性といった特徴から,診療録等の医療上の証拠が基本的に病院側に保管されているため,医療調査のためには,訴訟前に証拠保全の手続を行なって,上記診療録等を入手し,これを分析して協力医の意見を仰ぐことが最初の作業となります。その結果過失立証の可能性がある場合に,初めて交渉や訴訟といった手続に進むことになります。
 
 内容的に困難で手間隙のかかる作業のため,通常の事件より時間を要しますが,医療事故の防止と正当な賠償と謝罪を求めて,依頼者の皆さんと共同して困難な作業に精力的に取り組んでおります。

費用

 
証拠保全手続費用30万円程度(但し,保全実費は含みません)
医療調査費用10~20万円程度(但し,協力医謝礼は含みません)
損害賠償請求交渉事件着手金請求額の5%程度
報 酬賠償額の10%程度
損害賠償訴訟事件着手金請求額の5~10%程度
(但し,交渉からの継続事件は5%程度)
報 酬 賠償額の15~20%程度


 

翔の事件簿

 

脳血管バイパス医療過誤事件の解決

 
医療過誤のイメージ 日立製作所の社員であった53歳のMさんは、毎年日製日立病院で会社が行なう定期健康診断を受けていましたが、2000年の健康診断の際に、 たまたま脳ドック受診を進めるポスターを目にして、脳ドック検査を受けたところ、脳血管に狭窄が発見されました。そして医師から今後脳梗塞が発症する虞れがあると指摘され、 その予防のため脳血管をパイパスで繋ぐ手術(左浅側頭-中大脳動脈吻合術)を受けた方がよいと勧められました。そこでMさんは、同医師の言葉を信じて、同年12月に上記バイパス手術を受けたところ、手術手技の未熟さや不手際等の事情から、手術中に血流を遮断してパイパスを繋ぐ時間が予想より大幅に長くなり、術後に脳梗塞が発症し、失語症等の重い後遺障害が残るとういう医療事故が発生しました。
 
 その後Mさんはリハビリを重ねて職場復帰に至りましたが、後遺症のため仕事らしい仕事は与えられず、結局その意に反して会社を退職させられ、本人も家族も重い後遺症に苦しんでいるにもかかわらず、会社や病院は何の補償もしようとしませんでした。
 
  このため愛社精神の強かったMさんでしたが、さすがに耐えかねて日立製作所に対して損害賠償を求めることを決意し、当事務所に相談に来られたのが事件受任の始まりでした。
 
 この医療事故は、脳の深部にある血管と脳表にある血管を顕微鏡の下で繋ぐという想像し難い手技にミスがあったか否かという点が最大の論点でした。
 
 Mさんは、2003年12月に自ら民事調停の申立をしていたため、途中から私達弁護団が受任してこれを引継ぎ、調停が不調となったため、平成17年10月に訴訟を提起しました。
 
 そして訴訟手続きの中で、互いの主張がほぼ出尽くして、これから執刀医師の尋問や鑑定等の本格的な立証活動に入る直前になり、裁判所から和解勧告がありました。
 
 私達弁護団は、立証の困難な事件であったため、低額な和解金が提示されるのではないかと不安を抱きましたが、医学文献等に基づき詳細で説得的な主張を展開していたためか、裁判所の和解提示額は、請求金額の7割という予想外の勝訴的和解案でした。
 
 そして被告側にも、Mさんの思いが通じたのか、裁判所和解案を受諾してくれ、尋問等の立証活動を経ずに、提訴後2年が経過しようという2007年9月に、勝利的和解が成立するに至りました。
 
 医療過誤事件の中でもとりわけ専門的な脳外科分野の事件について、これほど短期に事件解決に至るのは珍しいと思われます。未破裂脳動脈失敗手術事件では、提訴後最終解決までに7年半を要しましたが、その訴訟での経験の蓄積と医学知識の習得が実を結んだ結果でした。
 
 茨城県内には、医療過誤訴訟を受任する弁護士が僅かであるため、当事務所への相談が最近富に急増しております。今後とも人的体制の整備と経験を重ね、医療過誤で被害を受けた患者や家族の皆さんの思いを受けとめ、その期待に答えられるようますます精進したいと考えております。
 
(弁護士 佐藤大志)
 
 

心筋梗塞見落とし 医療過誤事件の解決

 
 この事件の経過は以下のとおりです。
 
医療過誤のイメージ その2 潮来市に住み,会社経営をしていた糖尿病既往のある50歳の男性が,1999年4月に自宅で就寝後,夜中に喉や肩,背中に激しい痛みが出たため,救急車を呼び,鹿嶋市の病院に搬送されて当直医の診察を受けました。しかし同医師は専門が整形外科であったこともあり,胸痛という心筋梗塞の典型症例ではなかったことから,同病を疑うことなく心筋梗塞の診断には欠かせない心電図検査は行わず,上気道炎(風邪)と誤診し,消炎鎮痛剤や消炎酵素剤を処方しただけで,本来絶対安静が求められるにもかかわらず,男性を帰宅させてしまいました。男性は痛みに耐えながら帰宅し,床に就きましたが,午前4時ころ再度激しい痛みに襲われ,妻が運転する自動車で再度病院に向かいました。しかしその途中で男性は意識がなくなり,途中から救急車で病院に搬送されましたが,救急車内で呼吸停止の状態になり,病院に到着後間もなく死亡してしまいました。
 
 その後当事務所に遺族が相談に訪れ,同年11月に病院に残されたカルテ等を入手すべく,裁判所に証拠保全申立の手続きを行い,その後病院側と交渉を持ちましたが解決に至らず,2002年4月に水戸地方裁判所に提訴となりました。
 
 訴訟手続きの中で,遺族や当直医などの各尋問が行われました。当直医は,心筋梗塞を誤診したことを認め,遺族に謝罪する潔い証言をしましたが,病院側は賠償責任を争い和解を拒否し,2005年10月に鑑定を求めてきました。裁判所はやむなく鑑定人に鑑定を依頼し,専門の医師から鑑定書が出されました。そして鑑定書においても病院の責任が明らかだと断罪されました。
 
 その結果病院側もやっと争いを諦め,2006年9月1日和解に応じ,総額10クエンを賠償し,遺族らに謝罪するということで事件が決着しました。事件発生から7年が経過し,訴訟機関は約4年半という長期に及びました。
 
 この事案は,男性が死亡後解剖がなされていなかったことから,死亡原因や病名等の確定が困難であったため,立証に難しさがありましたが,最終的には全面的に遺族側の主張が認められる完全勝利となった貴重な事件です。
 
 従来医療過誤訴訟での勝訴は困難な実情がありましたが,最近の最高裁判例は,医療側に厳しい見方をしており,医療事故がやまない実情や世論の動向等を意識しながら,中立公平で妥当な判決が目立つようになってきました。
 
  また医療側のなかにも,良心的な医師や関係者も多く,医療事故の発生防止や対策に向けて医療機関の内部で努力をしている方もおられます。
 
 医療訴訟が困難なものであることは変わりませんが,私たちはこれらの医療従事者の方達とも連携し協力しながら,医療被害を受けてお悩みの方の力になり,誰もが安心して医療提供を受けることのできる社会を作り上げたいと考えております。
 
(弁護士 佐藤大志)
 
 

脳外科手術ミス

 
 この事件は,水戸市内の地域総合病院における脳外科手術の失敗という事案で,1992年に提訴し7年を経て2005年2月に判決となりました。しかし被告病院が控訴をしたため,控訴審で同年9月に和解解決となった事案です。
 
 この事案は,脳ドックで偶然に未破裂動脈瘤が発見され,医師から勧められて予防のために行った手術でした。しかし術後脳内出血が生じ再度開頭手術をしたところ,硬膜外血腫が生じて死亡した事案でした。
 
 この事件では,術前の説明義務や手技ミス,因果関係等が争点となり,改めて医療事件の困難さを思い知った事件でした。
 
(弁護士 佐藤大志)
 
 

人工呼吸器取扱ミス

 
 この事件は,自治医科大学付属病院に入院した患者さんが,病院スタッフの人工呼吸器の取扱ミスにより植物状態となり,最終的には死亡に至った事案でした。
 
 この事案では,事故病院が自ら詳細な事故調査を行い,その結果病院側にミスがあったことを被害者家族に説明しました。そのため私がかかわった後の賠償交渉もスムーズに進み,過失を前提とする示談が早期に成立しました。この事案の争点は,既往症による稼動能力の評価とその場合の慰謝料でしたが,特に慰謝料については,病院側が譲歩し相当額での示談解決に至りました。
 
 この事案での教訓は,事故直後の徹底した事故調査と遺族らに対する説明を行うことが,無用の紛争を防止できるという点です。自治医科大学の医療事故防止に取り組む真摯な対応と医療スタッフの良心を確認でき,今後も地域医療機関として信頼に足りる病院であると感じました。
 
(弁護士 佐藤大志)
 
 

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