鹿嶋市 し尿処理施設談合事件の画期的判決

鹿嶋市 し尿処理施設談合事件のイメージ

 2006年に完成した鹿嶋市のし尿処理施設について、入札の際に談合があったとして不当に水増しされた工事費を業者(クボタ)に請求せよと、鹿嶋市長に命じる判決が2008年5月13日水戸地裁で出されました。これは、市民オンブズマンの方が住民訴訟として提起していたものです。

 クボタを含む業者10数社は、全国の地方自治体が発注する汚泥・し尿処理施設について40件の入札談合を行ってきました。その内、8件については刑事事件になり、クボタを含めた業者らは大阪地裁で罰金刑を受けました(クボタは罰金2億2000万円)。本件し尿処理施設は、刑事事件の対象になっていませんが、各社の談合担当者が本件施設でも談合があったことを認めていることなどから、水戸地裁でも談合を認めたものです。

 その上で、談合があったことによって、談合がなかったならばもっと低額になっていた適正価格と現実の取引価格との差額分が鹿嶋市の受けた損害額になるとして、具体的には契約金額約17億円の10%である1億7700万円を損害額と認定してクボタに請求するように命じたものです。

 この判決は、談合の対象になった施設の内、刑事事件の対象となった施設以外で、初めて返還請求をするように命じた判決です。鹿嶋市は、この判決を受けてクボタに請求をしたのですが、クボタは拒否をしました。裁判中、鹿嶋市は訴訟告知といってクボタに重要な関わりのある裁判を行っているから裁判に参加するかどうか判断してほしいと通知しましたが、クボタは参加しませんでした。訴訟告知を受けた者がその裁判に参加しなかった場合、重要争点(クボタが他社と談合をして入札したかどうか)について後で争えなくなるというのが訴訟告知の制度です。それから言えば、クボタは訴訟告知を受けても参加しなかったのですから後になって支払を拒否するのは不当と言わざるを得ません。

 また、前述の談合があったとされた40件には、竜ヶ崎地方衛生組合(竜ヶ崎、取手など8市町村)や湖北環境衛生組合(土浦、石岡など4市で組織)がそれぞれ発注した汚泥再処理センターも含まれていました。水戸地裁の判決を受けて、それらの組合も損害額を業者に請求する予定でいます。

 このようにこの裁判は行政を監視して税金の無駄遣いを防ぐという住民訴訟の本来の役割を果たすことになったものであり、大きな意義があったということができます。

(弁護士 五來則男)


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