常総学院小仁所教諭差別事件 勝利解決

老人ホームへの出向命令


常総学院 高校野球で有名な常総学院で,教職員組合の委員長をつとめる小仁所厚志先生に対して,2004年4月1日,突然老人ホームへの出向命令が出されました。

 常総学院では,2003年8月,理事長の「ライバル校に子弟を入れている教職員は辞表を出せ。」という発言に不安を覚えた小仁所先生を中心に組合が結成されていました。

 出向命令は組合に対する不当労働行為,と茨城県労働委員会に救済申し立てをしました。



「合宿所」への隔離

 小仁所先生は,学校への出勤を続けましたが,学校側は自宅待機命令,続いて5月には合宿所和室を勤務場所として生徒との接触を禁止する,という命令を発しました。これに対しても救済申し立てを行い,「守る会」も作られてたたかいが続けられました。

名誉毀損の訴訟提起

 その間,合宿所勤務を「座敷牢」と表現した新聞の見出しをとらえて,学校側が小仁所先生に対して名誉毀損の民事訴訟を提起し,小仁所先生も不当な訴えであるとして反訴を提起する,といった事態も発生しました。

職場復帰へ勝利和解

 労働委員会では,証言した理事に対し,公益委員が杜撰な出向命令の出し方に苦言を呈する場面もありました。
 和解交渉を経て,2005年6月に,①1年以内の「研修期間」中の寮勤務を経て,教壇復帰させる,②寮勤務中も勤務条件は他の教諭と同等とする,③民事訴訟を取り下げる等の勝利和解が成立しました。
  
(弁護士 谷萩陽一)

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