事務所便り


2014/09/12

東海第2原発裁判 第7回口頭弁論期日傍聴記

固定リンク | by:水戸翔
昨日、東海第2原発運転差し止め訴訟の第7回口頭弁論期日が開かれました。
本裁判が始まって以来、はじめての午前中に行われた期日でしたが、傍聴を希望する原告が多く集まり、傍聴席に座りきれないほどでした。

本期日では、当事務所の五來則男弁護士が人格権についての弁論を行いました。
原発事故により住民が避難せざるを得ない状況になるということは、人格権の侵害が前提になっていること、また介護を必要とする高齢者など「避難弱者」は避難が困難であり放射線障害の回避が困難であること、新規制基準は避難計画の実効性審査が欠落しており違法であること、などを弁論しました。

また関連して、震災当時同居の義両親を介護していた原告Oさんが、当時の状況を意見陳述されました。

Oさんは自宅にて、一日おきに透析が必要なお義母さん、脳梗塞の後遺症で歩行が困難なお義父さんを介護していました。震災、原発事故時、お兄さんから「原発が爆発した。すぐに避難しろ!」と連絡があったものの、透析の受け入れ先をさがす必要があり、すぐに避難することが困難であったこと、東海第2原発で過酷事故があれば、介護が必要な人たちの避難は到底困難であることなどを陳述されました。


また、海渡弁護士からは「大飯原発差し止め判決」と東海第2原発に及ぼす状況、ドイツの裁判所の判断(※)を紹介しながら、過去1000年程度の地震記録を基に作られた安全基準地震動では非常に短い期間内の想定であり、地震の強度・最大加速度にばらつきがある中で平均値を取っており想定が不適切であることが指摘されました、福島原発事故の現実に向き合う中で大飯原発差し止め判決はドイツ司法に追いついたこと、などが弁論の中で述べられました。

裁判後の報告集会では、弁護団からは「当初原告の意見陳述は認めない、人格権は後回しでいいという態度だった裁判官が、人格権についても大切な論点との認識に変わっている。また、同僚裁判官がこういった判決をしたことは本裁判の裁判官にも大きな影響を与えている」と報告されていました。

次回口頭弁論裁判は12月18日の予定です。(H)

※ドイツ・ミュルハイムケリヒ原発ではほとんど地震の発生することのない地域であったが、裁判官の「未知の危険に対する鋭敏な感覚」により、同原発は廃炉と判断した。

東京新聞/「被ばく避けられない」東海第二原発訴訟 口頭弁論


 

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